北信越王者ロベルカル信州が掴んだ“全員で勝つ”という価値
北信越フットサルリーグ1部を制し、地域チャンピオンズリーグ(地域CL)出場権を獲得したロベルカル信州。2シーズン前まで長野県リーグに所属していたチームが北信越の舞台で頂点へ到達したことは、今季リーグ全体のトピックの一つと言える。
ここでは、リーグ優勝後に発表された中沢優季監督の公式コメントをもとに、シーズンを振り返る。
「積み重ねてきた活動の先にある優勝」
優勝決定後、中沢監督はまず率直な喜びと感謝を語っている。
「目標としていた北信越リーグを制し、地域チャンピオンズリーグ出場を決めることができ、本当に嬉しいです。2シーズン前まで長野県リーグを戦っていた我々がここまで来ることができました。みんなで取り組んできた1回1回の活動が積み重なって、全員で成長しながら作ってきたチームなので、とても感慨深いです。ロベルカルに関わる全ての人に感謝の気持ちを伝えたいです」
短期間での飛躍に見える結果も、監督の言葉が示すのは「日々の積み重ねが形になった」という実感だ。選手・スタッフはもちろん、クラブに関わるすべての人と共に掴んだシーズンだったことが伝わってくる。
優勝を決定づけたターニングポイント

今季のターニングポイントとして監督が挙げたのは、後半戦初戦となった第6節GNU戦だった。
「3-3の引き分けだった試合です。前半戦の5節までは全勝で来ていたのですが、この試合は2ndピリオド序盤で0-3とされ、北信越1部の難しさを改めて感じた試合でした」
1部の強度と戦いの難しさを突きつけられた試合。それでもロベルカル信州は食らいつき、終盤に追い上げて勝ち点1を手にした。
「シーズン序盤から時間を割いて取り組んできたパワープレーで、残り1分半の状況で追いつくことができました。最終的には同勝ち点で得失点差での優勝でしたから、このドローは本当に大きかったと思います」
引き分けに終わった一戦が、結果的に優勝を左右する重要な勝ち点となった。苦しい局面で準備してきた武器を発揮できたことが、シーズン後半の戦いに確かな手応えをもたらしたといえる。
“3セットで戦い抜ける選手層”という強み

北信越1部に昇格した今季、チームとしての最大の強みについても監督は明確に触れている。
「選手層ですかね。3セットで回してみたところ、出場した選手たちが強度高くやるべきことをやりながら、チームとして結果がついてくる試合が続きました」
試合ごとにメンバーを絞らざるを得ない可能性も議論された中で、“3セットで回して勝点を積む”というスタイルが確立されていった。さらに普段の練習から3セット分の人数が安定して揃うこと、そしてメンバー外となる選手が出る環境がチーム内競争を生み、全体の強度を高めたことも大きい。
「厳しいチーム内競争が常に行われていることは大きいと思います」
クラブとしての厚みが、そのままリーグ戦での強さにつながったシーズンだった。
得点王の存在と、全員で掴んだタイトル
今季の“キーマン”について、中沢監督は得点面で際立った選手に触れつつも、個人に限定しない姿勢を明確にしている。
「No.10駒形(14ゴールで3年連続得点王)、No.16丸山(新加入で13ゴール)が数字的には目立ちますが、一人二人に絞ることはできません」
ゴレイロ陣の安定、献身的な守備、攻撃を支えるフリーランやアシスト、そしてピッチ外からの声掛け・姿勢・サポート。出場時間の多寡に関係なく、全員がそれぞれの立場でチームのために動いたからこその優勝だったと監督は強調する。
「誰か一人でも欠けていれば優勝は無かったと、まさに全員でつかんだ優勝だと思います」
“全員が主役”というチーム文化が、最後まで勝負強さを支えた。
攻撃の成熟と守備の選択肢の増加

チームとしての成長点について、監督のコメントは戦術面の進化を示している。
「攻撃面では2シーズン前からクワトロに取り組んでいます。積み重ねてきたものがだいぶ熟成されてきたかなと思います」
低い位置から勇気を持ってボールを動かし、機を見て裏のスペースを突く攻撃は、ロベルカル信州の大きな魅力として形になりつつある。
さらに守備面でも、地域CLを見据えてバリエーションを増やしてきたという。
「パワープレーも含めて、戦術的な選択肢を以前より多く持てていることは、試合中の様々な状況においてメンタル的にも優位に立てている要因だと思います」
“戦える選択肢があること”は、試合中の自信や落ち着きにも直結する。チームが勝点を取り切る力を高めた裏付けと言えるだろう。
支えてくれた人へ、感謝と地域CLへの決意
優勝後、スポンサーやサポーターに向けて、監督は改めて感謝と決意を伝えている。
「支えてくださるスポンサー様、温かい声援を送ってくださるサポーターの皆さま、いつも本当にありがとうございます。皆さまと喜びを分かち合えることができ、とても幸せです。地域チャンピオンズリーグでも胸を張って闘ってきます!」
北信越王者として挑む次なる舞台。ロベルカル信州は、地域CLでも“自分たちのフットサル”を証明しにいく。
来季へ――「発信で北信越フットサルを盛り上げたい」

最後に来シーズンへ向けた目標として、監督が強く打ち出したのは“情報発信”の価値だ。
「2シーズン前からインスタに全ゴールを投稿してきました。手の内を晒すことで不利になるのではという声もありましたが、これこそがフットサルの本質である駆け引きの深さや、相手の裏をかく発想力と向き合い続けるチームの覚悟を示すものでした」
隠すのではなく、発信したうえで勝つ。読まれたら裏をかく。
この姿勢が選手たちの自信と覚悟を育て、今季の結果にも結びついたという。
「来シーズンも発信力を強化しながら、魅力的なフットサルを磨き、長野県、そして北信越のフットサルシーンをさらに盛り上げていければと思います」
北信越の頂点に立った今、ロベルカル信州は“地域のフットサル文化を前に進める存在”として、次のシーズンへ歩みを進める。

