D.S.Lindo 山口和人監督
北信越5県の女子クラブが競い合う北信越女子フットサルリーグ。2025シーズンの頂点に立ったのは D.S.Lindo だ。守備強度と試合終盤の粘り強さを武器に、シーズンを通して安定した戦いを積み重ね、最終節まで続いた優勝争いを制した。
今季は地域女子チャンピオンズリーグが石川県で開催されるという特別な背景もあり、北信越代表の座にかかる期待と重圧は例年以上。王者としてリーグを勝ち切った山口和人監督に、優勝の本音や勝負を分けたポイント、そして来季への展望を聞いた。
優勝した今の率直な気持ち

「嬉しさというより、**“ほっとした”**のが正直な気持ちです」
山口監督は開口一番、安堵を口にした。今季は全国大会につながる地域女子チャンピオンズリーグが石川県開催。もし出場を逃せば、応援してくれる人たちに顔向けできない、という強いプレッシャーが常にあったという。
「“絶対に出る”という覚悟と周囲の期待が重なっていた一年でした。勝った瞬間に爆発する喜びより、最後に出場権を取れて責任を果たせた、という感覚が大きいですね」
王者だからこそ背負う重さを、静かな言葉で表現した。
今季のターニングポイント
「最終節(ALogar戦)の1週間前にやった紅白戦です」
ターニングポイントとして挙げたのは、公式戦ではなく直前の紅白戦だった。前節から3か月の中断期間があり、チームも個人も強化できた実感はあった。しかしその紅白戦で、監督はある危機感を覚えたという。
「自分たちが目指すフットサルを“貫き切ったら”負けるかもしれない、と感じたんです。理想を追うだけではなく、最終節は勝点や順位、流れまで全部絡む“勝負の試合”。そこでリスクを減らした戦術に切り替える決断をしました」
積み上げてきたスタイルを尊重しながらも、最後は“勝つための最適解”に振り切る。その判断をチーム全員が受け入れ、実行できたことが優勝の決定打になった。
チームの強み
「まだまだ足りない部分はありますが、守備強度です」
D.S.Lindoの今季を象徴するのは“折れない守備”だった。球際の強さ、切り替えの速さ、カバーの質、声掛け――それらが積み重なり、試合を通して高い強度として表れた。
「守備はメンタルとフィジカルの両方が必要です。相手が上手くても、失点しても、次の局面で必ず取り返すという共通のスイッチを全員が持てた。そこが一年を通しての強みだったと思います」
攻撃で主導権を握れない時間帯でも、守備がブレないから最後に勝負へ持っていける。王者の土台はこの守備にあった。
今季のキーマン

「ゴレイロ陣です。今季は安心して任せられるようになりました」
試合の流れを左右する最後の砦。D.S.Lindoのゴレイロは、数年前にFPから転向した選手たちが担っている。
「転向してくれた選手たちは最初、本当に大変だったと思います。でも今季は“ここは任せた”と言えるだけの成長があった。セービングだけでなく、コーチングや雰囲気づくりでも支えてくれました」
ゴレイロが安定すると、フィールド選手は前線で強気のプレーができる。チーム全体の守備強度が高まった背景には、このポジションの飛躍があった。
一年で成長したポイント
「選手の精神的な強さと向上心です」
タイトル争いの重圧や長い中断期間、最終節直前の戦術変更など、揺れやすい状況でも選手たちは前を向き続けた。
「試合ごとに要求の質が上がっていった。できなかったことを“できない”で終わらせず、次の週には当たり前のようにやり直してくる。メンタルのタフさも含め、選手たち自身が自分たちを引き上げていった感覚があります」
監督が確信を持って語るほど、チームの内側から湧き上がる成長力が今季の推進力だった。
支えてくれた方へのメッセージ

「高い目標に向かって進み続けられるのは、応援してくださるみなさまのおかげです」
ファン、家族、スポンサー、地域の人たち、そしてリーグ運営に携わる関係者への感謝を、山口監督は丁寧に言葉にした。
「地域女子チャンピオンズリーグで上位に食い込めるよう、さらに高い質を求めてトレーニングを積んでいきます。今後も選手たちへの支援をよろしくお願いします」
優勝はゴールではなく、次の挑戦へのスタートだ。
来シーズンに向けた目標
「クラブとして、選手のトレーニング環境や試合環境をもっと充実させたい。
そしてサポーターを集め、北信越リーグが女性の輝ける舞台になるよう働きかけていきたいです」
来季の目標は、ピッチ内の更なる強化に加え、クラブとリーグの土台づくりにも重心が置かれている。勝ち続けることと同時に、女子フットサルの価値を地域に根づかせ、次の世代へつないでいく――。
王者としての責任と挑戦が、D.S.Lindoの未来をさらに大きく動かしていく。
