5人でつくるチームワークの魔法─ フットサルが教えてくれる「つながる力」

5人で戦うスポーツ、それがフットサル

フットサルは1チーム5人(フィールドプレーヤー4人+ゴールキーパー1人)で行われます。
この小さな人数が生み出すのは、“濃密なチームワーク”です。

サッカーのように大勢で戦うわけではなく、1人のミスも1人のプレーも試合の流れを大きく変える。
それゆえに、全員が「自分もチームの一部だ」と強く感じることができるのです。

コートは約40m×20mとコンパクト。
だからこそ、味方との距離も声も近く、まるでバスケットボールやアイスホッケーのような一体感が生まれます。
その中で繰り広げられる連携プレーは、まさに“5人で作る芸術”といえるでしょう。

一人ひとりが「主役」になれるチームスポーツ

フットサルでは、攻撃も守備も全員で行います。
ポジションごとに役割はありますが、攻めるときも守るときも全員が関わることが基本です。

これは、11人制サッカーとは大きく異なる点。
一人の役割が限定されにくく、誰でもチャンスを作る側にも、得点を決める側にもなれます。

フットサルにおける主なポジション

ポジション名説明
ゴレイロ(GK)ゴールを守る守護神。攻撃の起点にもなる。
フィクソ(DF)最後尾からチームを支える司令塔的存在。
アラ(MF)サイドで攻守をつなぐ万能プレーヤー。
ピヴォ(FW)ゴール前でチャンスを作るストライカー。

しかしフットサルでは、GKが攻撃に参加することも、FWが守備に戻ることも珍しくありません。
ポジションはあくまで目安であり、全員が流動的に動く“全員フットサル”が理想です。

声をかけ合う。それだけでチームは強くなる

フットサルでは、距離が近いからこそ“声”が重要です。
たった一言の声かけで、味方の動きが変わり、チームのリズムが生まれます。

  • 「ナイス!」
  • 「うしろいるよ!」
  • 「こっち!」
  • 「ドンマイ!」

このような声を出すだけで、プレーがつながり、ミスを恐れずに動けるようになります。

逆に、静かなチームは連携がうまくいかず、相手に主導権を握られがちです。
つまり、声を出す人が多いチームほど強い。
それがフットサルの不思議であり、魅力でもあります。

パスがつながる瞬間に生まれる「一体感」

フットサルでは、パスの本数がサッカーの約3倍ともいわれます。
短い距離でボールをつなぎながら、全員が“次の動き”を考えている。

一つのパスが成功するたびに、チーム全員のタイミングが合い、リズムが生まれます。
そして、パスが4本、5本と続いた瞬間に感じるのが「自分たちの流れがきた」という感覚。

これは、どんな得点にも勝るフットサルの醍醐味です。
技術だけではなく、信頼とタイミングの重なりが作る美しい連携
この“チームで一つになる瞬間”を味わうために、多くの人がフットサルを続けています。

小さな失敗も、笑いに変わるチームの空気

フットサルは、プロ志向の選手だけのものではありません。
社会人チームやミックスチームでは、ミスを責めるより「ドンマイ!」「次いこう!」という声が自然に飛び交います。

小さなコートでプレーするからこそ、お互いの顔が見え、感情が伝わりやすい。
その結果、**「一緒にいると楽しいチーム」**が生まれるのです。

スポーツを通じて笑い合える時間。
それがフットサルが“人をつなぐスポーツ”といわれる理由のひとつです。

ゴレイロ(GK)は、もう一人の司令塔

フットサルのGKは、単なる守護神ではありません。
足元の技術が求められ、攻撃の起点になることも多いポジションです。

たとえば、相手のプレスを受けたとき、GKからの正確なフィードで一気にチャンスを作る。
ときには前に出て、フィールドプレーヤーのようにパス回しに参加することも。

このようにGKもチームの“5人目のフィールドプレーヤー”として動くことで、
攻撃の幅が広がり、戦術の多様性が生まれます。

ゴレイロの冷静な判断力と声かけが、チーム全体の安定感を作り出しているのです。

勝ち負けよりも「つながる」ことの価値

フットサルを楽しむ人の多くが口をそろえて言う言葉があります。
それは──

「フットサルを始めて、仲間ができた。」

勝ち負け以上に、誰かと一緒にゴールを喜び、同じ汗を流す時間こそが価値です。
学生時代を過ぎても、会社員になっても、家庭を持っても、フットサルは続けられる。

試合後に「楽しかった!」と笑い合える瞬間は、何ものにも代えがたいチームの宝です。

チームワークを育てる3つのポイント

初心者でも「良いチーム」を作るコツは難しくありません。
以下の3つを意識するだけで、雰囲気もパフォーマンスも変わります。

① 相手を責めず、称え合う

ミスは誰にでもある。大切なのは「ナイスチャレンジ!」と声をかけること。
それだけで次のプレーが変わります。

② 役割を明確にして共有する

「誰が守るか」「誰が動き出すか」を話し合っておくだけで、混乱が減ります。
口に出して整理することで、信頼が深まります。

③ 楽しむ気持ちを忘れない

勝敗にこだわりすぎると、楽しさが薄れてしまいます。
“楽しく戦う”ことこそ、チームが長く続く秘訣です。

北信越地域で広がる「チームの輪」

北信越フットサル連盟では、地域クラブや社会人リーグを中心に、数多くのチームが活動しています。
富山・石川・福井・新潟・長野の各県で、競技志向からエンジョイ志向まで多様なチームが存在。

中には、家族で構成されたチームや、仕事仲間でつくったチームもあります。
「久しぶりに体を動かしたい」「職場以外の仲間を作りたい」──
そんな思いから始まるチームが、今も続々と生まれているのです。

ひとりでも、きっと“あなたの居場所”が見つかるはずです。

戦術の中に見えるチームの絆

フットサルでは、「セットプレー」や「ローテーション」といった戦術が重要です。
これらは、練習での声かけ・タイミング・信頼関係によって成り立ちます。

たとえば、コーナーキックの合図を一瞬の目線で合わせる。
相手の動きを見て、味方が自然にポジションを入れ替える。
こうした“言葉を超えた連携”がうまくいったとき、チームの絆が深まるのを感じます。

まさに、**戦術の裏にあるのは「人と人の信頼」**なのです。

フットサルが教えてくれるチームワークの本質

社会に出ると、仕事でもチームで動くことが多くなります。
フットサルは、そんな「チームの中で動く力」を自然に身につけられるスポーツでもあります。

  • 自分の役割を理解する
  • 仲間を信じる
  • 相手の立場で考える
  • うまくいかなくても支え合う

これらはすべて、フットサルのピッチの中で経験できること。
スポーツを超えて、人生にも通じるチームワークの原点がここにあります。